占い師から助言された将来のこと

30歳女性、会社員をしています。

私が占いをしてもらったのは、20代半ばの時のことでした。友人が有名な占い師に将来のことを占ってもらいたいと言うので、私はその付き添いでついて行きました。私自身は占いはほとんど信じません。たまにテレビで星占いをしているのを見て「ふぅん」と思う程度です。

友人に連れられて行った占いの館は、私が思っていたよりこじんまりとしていました。小さく看板は出しているものの、ほとんどの人が気付かずに通り過ぎてしまうほど小さな看板でした。

友人は、口コミでここの占い師がかなり当たると知ったそうです。最近失恋したばかりの友人はかなり意気込んでいるように見えました。そんな彼女を見て、占いに左右されるってどうなんだろう・・・と少し虚しさを覚えました。

占いの館に入ると、私は待合室で待たされました。部屋は遮光され、いかにもな雰囲気に小さなため息が出ました。催眠術にかかりやすい人は、きっとこの雰囲気に触れただけで占いという催眠にかかってしまうんだろうなと漠然と感じました。

しばらくすると生き生きとした表情で友人が戻ってきました。きっと自分にとって都合のいいことを言われたのだろうけど、暗い顔よりは断然いいやと半分呆れながら思いました。

すると友人が、次は私が占ってきてもらえと言うので驚いて「私はいい!」と首を振りました。しかし友人は、絶対当たるから、運命の人がいつ現れるかだけでも聞いてきなよ!と言われました。

この占いの館は普段は混雑しているようですが、その日はたまたま私達以外には誰もいなかったのです。運命の人は別に現れなくても良いけれど、と思いましたが、頭の中は以前付き合っていた彼のことを思い出していました。学生時代から付き合っていた人だったのですが、社会人になってからすれ違いが続き、結果彼の浮気が原因で別れたのでした。それから2年が過ぎましたが、未だにその傷は癒えることなく私の心に住み着いています。

私はしぶしぶながらも占い師の元へ行きました。小さな机に座っていたのは、意外にも普通の身なりをした女性でした。私の想像では占い師と言えば、マントをかぶって奇抜な身なりをした怪しげな雰囲気を醸し出していたからです。

私が椅子に座ると、占い師がいきなり「振られたんですね。それもずっと以前の話。」と言ったので驚きましたが、友人が何かのついでに話したのだろうと思い、小さく頷く程度に返事をしました。

占い師は続けました。手元にはタロットがあり、一枚一枚不思議な動きをしながらめくっていきます。そして私に「半年以内に転職をすると良いでしょう。あなたの夢に一歩近づけます。転職して間もなくある男性があなたの前に現れます。その出会いを見落とさぬよう。そして、後戻りは身を滅ぼします。」などと言われました。最後の一言を話すときだけ、私の目を凝視したので私は少々君が悪くなりました。

占い師の部屋を出て友人の元へ行くと、友人は期待に溢れた目で私に「何を占ってもらったのか」と聞きました。その言葉を聞いて、そう言えば私は何を占ってほしいとも言わなかったことに気がつきました。占いは勝手に始まり勝手に終わったのです。きっとデタラメだと思いました。そして友人に、私の元彼のこと話さないでよーと冗談めかしに言うと、友人が不思議そうに「なんのこと?」と言いました。その表情を見て、私の背中に冷たいものが流れ落ちました。

信じるつもりはなかったけれど、なぜか占い師の言葉が頭から離れなくなりました。夢に一歩近付けるとはどういうことなのか。私の本来の夢は司書でした。公立図書館や学校図書館ではなく、企業内にある資料室で働くのが夢でした。ただ司書は採用枠が少なく、求人募集もほとんど無い状態なので普通の事務員として就職したのでした。

私はそれ以来、なんとなく司書の求人募集がないか見るようになりました。数ヶ月経った時に、大手企業が司書の募集をかけているのを目にしました。採用人数は一人。いつもなら諦めが先にくるところですが、なぜか受けようという気持ちになりました。

結果、私は最終選考まで残り、見事内定をいただくことができました。退職願いを提出し、私は転職をしました。それと同時期に元彼から連絡がありました。会いたいという内容で、私も心が揺らぎましたがその時も占い師の「後戻りは身を滅ぼします」という言葉が蘇りました。私はもう新しいスタートを切ったのだから、と思い、彼に返事をすることはありませんでした。

そして転職した先で良い出会いがあり、その男性は現在は私の夫になりました。

占い師に占ってもらったのは後にも先にもあの時だけですが、今の私があるのは、あの時の占いがあったからです。

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